« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »

2013年9月

2013年9月26日 (木)

宇田川式らんちゅう

言ってみるもので、日本らんちゅう愛好会の宇田川氏の文章、ある方のご厚意で入手できました。感謝いたします。m(__)m

読むと私の記憶と少し違うのですが、それ以上に沢山の発見があったので見ていくことにしましょう。

氏は平成10年度版(1998年)の会報に『らんちゅう』と題して、10ページに渡って総論から飼育全般についてしたためられておられます。

ランチュウの歴史について

ランチュウの魅力について

飼育環境について

水質について
【井戸水】【青水(雪水)】【青水】【サラ水】【水替え】

餌の与え方
【稚魚】

交配
【何歳くらいから交配させたらよいか】【雌雄の対比数】【孵化時の水温・水深】【水温の変化】【産卵後の親の処置】

選別
【黒子の時は選別しない】

形について
【頭】【尾の形】

審査について

以上の内容で項目化されています。そこで私が注目した部分をピックアップして考察してみます。

交配
【何歳ぐらいから交配させたらよいか】
できれば4歳から4・5・6・7と同じ雌で4年位、雄はさすがに4年は無理で、うまく取って3年です。1番子・2番子・3番子の比較は一切必要ありません。
問題になるのは、産卵後の1カ月の気温(温度)です。考え方として、温度というのが毎年期間的に違うので、3番位まで取っておくというものです。その他の2番より1番のほうは太いとかいうことは俗説です。敢えていえば、6月のこびきをしますと気温が安定していますからウロコはきれいです。

交配が4歳からの意味を、愛好家は十分噛み締めるべきです。
要するに、成長が止まって完成された容姿を見極めて、交配に使うことを述べられているのです。1番子・2番子・3番子の違いは無いことを、事もなげに看破されています。遺伝子が同じであれば、同等のものが出来るのは当然で、至って科学的な意見だと思います。但し、氏が仰るように気温の安定こそが、成長具合を左右すると仰っていることは注意が必要です。鱗並びを気にするのなら、6月に仔引きすればよいことになります。

選別
【黒子の時は選別しない】
一番の理由は黒子の間は尾しか見えないからです。従って昔の
会魚を追う人は95%が尾中心と言う考え方でしたから、黒子のうちに尾で選るしかありませんでした。色変わりの1カ月半前に背おれができてきて、これが2~3年たって変化してきます。したがって黒子の2ヶ月位のところで選別するのは誠に情けないことです。
 東京ランチュウというのは、頭が出来て初めて東京ランチュウなので、これが人気につながったわけです。それまでにあった大阪ランチュウ・マルコ等が、頭のある東京ランチュウに取って代わってしまったという歴史をみても明らかなのではないでしょうか。

私が記憶しているのとやや違うのですが、仰っていることは一緒です。黒子の時に選別することを『誠に情けないこと』とされています。早期の選別は“情けないこと”なんです!この意味が分かりますか?氏が落胆にも近い感情を書き込まれている意味が。

『会魚』は当然『種魚』を念頭に置かれていることがこの一文で理解できるでしょう。

形について
親のかしらになるには、どうしても4歳からで、それは大きく育てても小さく育てても同じことです。それまでになぜできないかというと発育しているからです。発育がとまったときおのずからその金魚のもっているかたちが出来るわけです。

この一文には、魚の見極めが4歳からの意味が書かれているわけです。すなわち魚を繫げることの本質が書かれているのです。大きさは関係ないことも、ここに書かれています。宇野系が小さいとか大きいとかは、大して意味がないことも、これでお分かりになることでしょう。

頭の4つの部分(氏はフンタン・目下ビン?・目上ビン?・トキンを4つの部分と呼ばれている)のメリハリの切れ目が崩れてくると、どれにもつかない頭になるので、ただ出ていればよいと言うのではいけない。できればこの4つの部分がまんべんなく発育している型が、後々安心して親に使えます。--中略-- 発育過程で4才までの間に、トキンの部分が細かくゲジゲジ状に出るものと、丸く出るものとでは、本質的に遺伝子が違うようなので、親にするときには、頭のりゅうしを念頭に置いておいた方がよいでしょう。

頭部肉瘤の重要性を、この文章を見るだけで理解できます。メリハリが効いて崩れていない、どのパーツの発育も良い獅子頭を基本に据えられています。

そして『ゲジゲジ状』と『丸く出るもの』とに分類されて、なおかつ頭の粒子を意識して掛け合わせをするべきと仰っているのです。

当然ながら肉瘤は遺伝であることを、もはや大前提とされていることも読み取れるわけです。

私がブログで主張してきたことと、寸分の違いも無いことが分かりますよね。このブログに書かれていることが根拠がないこととするには、余りにも勉強不足としか言い様がないことが分かると思います。

ただ、氏も仰っているように、『会魚』を楽しまれるのも、それはまた方向性として、趣味なのですから卑下することも見下すこともないことなのです。『種魚』という存在をどう捉えていくかはその愛好家の意識次第なのだと結論付けることができます。

それはそうと、私が以前読んだ記憶がある「選別」についての一文、どこにあるんでしょう??記憶間違い?ならばそれはどこに??

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2013年9月17日 (火)

宇田川氏のこと

宇田川氏が亡くなられてもう何年になるんでしょう。

晩年、あるきっかけから何度かFAXでやり取りをさせていただき、お会いすることになったんです。(当時声帯を取られて電話に出ることができなかったので。)

聞くと「病院まで来てくれ。」と。病院まで押しかけるわけにはいかないと申し上げると「構わないから来てくれ。」と仰っていただき上京することになりました。

暑い日、駅から10分ほどの病院に、探し探し辿り着いたのを覚えています。まだ手術されて1週間とか。恐縮しきりでしたが気丈にもこころよく応対してくださいました。私のぶしつけな質問にもボードにサインペンですらすらと筆談で答えてくださり、色々なことをお聞きすることができました。今にして思えば貴重な至福の1時間半でした。

宇野系全般のお話、尾島系のお話、関西の愛好家のお話等々話しは尽きないのですが、これ以上の長居はお体に悪いと思い退席させていただきました。

「私の分かることならお答えしますから、また来てください。」と仰っていただき、玄関までわざわざ見送りに来てくださったその笑顔の宇田川氏が未だに脳裏に焼き付いています。そのひと時が最初で最後となるとは・・・・。

Img_0002_3
往年の宇田川氏(中央の人物:京都金鱗会品評会:京都会館)

以前宇田川氏は日本らんちゅう愛好会の審査員をされていて、その関係で一度だけ会報に氏の飼育法をご披露されたことがあるんです。

もう今から15年ぐらい前の会報で、不覚にも今私はその会報が手元にありません。どなたかお持ちの方は見せていただきたいです。m(_ _)m

確か要旨は以下のようだったと記憶しています。

A:当歳の選別は色変わりしてから。

B:一池200尾ぐらいを基準に。(数ははっきり覚えていませんが多かったかと。)

C:その池を二歳の春に100尾にする。

等々とにかく、当時青仔の時にどれだけ減らすかが勝負の選別方法が主流であったのに、あまりにもお書きになっていることが違っていることに衝撃を受けた記憶があります。明らかに品評会を目的とした飼育方法ではなかったんですね。

氏は、早期に選別をかけるのを、「それは会用の飼い方だね。」と仰っていたのを思い出します。

当時から氏は、明確に、“会用”という言葉を使用されていたということは、対義語たる“種用”を意識されての言葉だと推測されます。つまり形質重視の選別をされていたに違いないのです。現に頭の質ひとつとっても、形質重視の残し方を実践されていたのは明白です。

当時、会報に書かれた飼育法に誰も反応しなかったとしたら、さぞ氏は落胆されたのではないかと推測します。それほど確信犯的な文章であったはずなんです。

当時からそのような飼育法を実践されていた愛好家は、私の知っている限り、もう一人いらっしゃいました。ここから先は『金魚三昧第二号』の“京都らんちゅうの系譜”に詳しいのでそちらをどうぞご覧ください。

宇田川氏は既存のらんちゅう理論には飽きたらず、独自の理論を展開されたのですが、こちらはまた別の機会か、詳しい方に解説は譲るとしたいと思います。

この秋、日本らんちゅう愛好会の品評会がないことを考えていたら、ふと宇田川氏の審査の様子が目に浮かんだもので、この一文とした次第です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年9月16日 (月)

台風18号

昨晩からすごい雨です。

風も強い。

特別警報なるものが出て何十年かに一度の大雨だそうで。

幸いうちの前の川も氾濫までは至ってません。

水槽の水はすでに入れ替わった状態です。(^^;)

皆さんお気を付けください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年9月15日 (日)

どっち?~種魚をどう選ぶか~

ここに2尾の種魚候補がいるとします。

さてあなたならどっちが種魚としてふさわしいとするでしょうか?

Dsc_3806
かたや白勝ちの更紗。

Dsc_3805
もう片方は素赤というか猩々。

さあ!あなたならどっち?『どっちの種魚ショー』(^^)/

普通なら更紗を選びますよね。

素赤は、尾が流れちゃっているからダメ。

更紗は尾が揃っている。でも目先が白いし右手が白い。それ以外欠点はないし・・・・。

素赤の頭と胴の質は飛び抜けています。でも尾がね。

私なら素赤を選びますけど。

2尾は同腹なんです。尾優先の選別をしていたら素赤は残ってないですよね。早い時点でハネているはずです。でも我慢して飼っていたら素質が出てきた。(尾以外)

こうやって尾の良い個体も出てくる。親の尾はダメだけど、仔は色々なタイプが出てくるってことなんだと思うんです。

早いうちに尾だけで選別したら、素赤のような形質の個体は皆無になっちゃうんです。次世代は確実に質が落ちていることになってしまう。でも飼育者はその劣化が緩慢なので気づかない。

ある時、10年前に撮った写真を見て愕然とする。頭の形質が無くなっている・・・・って。

『良い魚を捨てているに決まっている。』これは宇野先生の言。

それと、私なら魚の色を見た時点で素赤を選択します。上の更紗は腰白が進んだ色ですよね。腰白が進むと赤の部分が収縮していく傾向があります。白勝ち同士の掛け合わせなら確実に白い魚が増えます。それを回避したい。素赤同士でも更紗はいくらでも出るし。別に狙う必要性は無いと思うんですよね。

“出てきたものをどう残すか”が問題なんだと思うんです。

但し、上に書いたことを今からご自分の系統で実践しても、おそらく狙った形質の個体は残らないです。4年間一腹全部を残す覚悟と場所が無ければ、失った形質を探すことは困難だと思います。砂場で一粒の砂金を探すように。(←ある尊敬する先輩の言)

ならばどうするか?それが知りたい人はメールください。

ここに書いていることをベテランさんに聞いても答えは返ってこないですよ。お断りしておきます。

気の長い話しですよね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年9月13日 (金)

2013年宇野系らんちゅう品評会日程(決定版)

さあ!品評会へ行こう!

この週末から品評会シーズン突入です。
画像や動画を見て判ったつもりになっても只の耳年増。
魚を自分の足を使って見ることをしない人は、信用に足らない人と軽蔑しております。

是非足を運んで直に会場で魚を見てください。

どの品評会も11時ぐらいから魚が並びだします。

優等の魚が全てではありません。洗面器の下のほうに輝いている宝石を見つけに行ってください。会によっては貯め池に原石が泳いでいたり!?

(※以上、去年と同じ文言)

【宇野系らんちゅうの品評会日程】

9月15日『播磨愛らん会』 姫路市 大塩天満宮

9月15日 和歌山錦鱗会』 和歌山市 紀三井寺球場

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

9月22日『小倉金鱗会』北九州市 小倉城

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月6日『琵琶湖金鱗会』 滋賀県 琵琶湖ホール左横公園

10月6日『守口金鱗友の会』 守口市 大宮中央公園

10月6日『鶴来らんちゅう友の会』石川県 パーク獅子吼 ふれあい館広場

10月6日『日本獅子頭らんちゅう愛好会』姫路市白浜町 戎水産荷揚場(妻鹿漁港)

10月6日東北らんちゅう愛好会』  サンワドー(弘前堅田店)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月13日『日本らんちゅう愛好会』大阪府 天王寺公園※愛好会解散でありません。

10月13日『京都金鱗会』 京都府 藤ノ森神社 ※同名の愛好会が存在しています。

10月13日『神戸らん友会』 神戸市 和田神社(※27日から変更)

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月14日『宮崎らんちゅう会』 宮崎市宮崎中央公園文化の森

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月20日『京都らんちゅう会』 京都府 六孫王神社

10月20日『日本愛らん会』 大阪府 弁天町

10月20日『京都金鱗会』 京都府 梅小路公園

10月20日『京都愛らん会』 京都府 水火天満宮

10月20『東京らんちゅう倶楽部』 足立区生物園

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10月27日『全日本らんちゅう愛好会』 大阪府 吹田メイシアター

10月27日『枚方らん盛会』 大阪府 交野神社

10月27日『日本らんちゅう愛好会四国支部』 高松市中央公園

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

11月3日『守口らんちゅうの会』守口市 大宮中央公園 

11月3日『九州愛らん会』 福岡県 中津

11月3日『愛知らんちゅう愛好会』 稲沢市平和支所

※誤記があればご連絡ください。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2013年9月 4日 (水)

長雨が続くとき

秋雨前線が居座り、台風、竜巻などほとんど天変地異ですよね。

ここ一週間、ずっと雨だそうで・・・・。

そこで悩むのが水換えです。

A:よく雨が降って水が入れ替わり、水換えの手間が省けてラッキー!

B:いやいや!雨水は雑菌繁殖の元、、水換え水換え。

C:今日夕方から雨降るし・・・、また水換えしなきゃならないから水換えやめとこ。

D:全然意識してなかった。。。気が向いたら水換えしてるけど。(^_^;)

みたいな反応でしょうかね。あなたはどのタイプ?

私の考えを申し上げると、雨が降ろうが降るまいが水換えは定期的にしたほうが良いように思うんですね。

雨の為に水換えを延ばすと、水が悪い状態に大量の雨水が入ることになり、水質悪化や酸欠のような状態が起こったりすると考えます。

雨が入った後、水が白濁りしたことないですか?または青水が沈殿して澄んでしまったり。

白濁りは、ある種の細菌が異常繁殖している証拠。水中の常在菌のバランスが崩れたんですね。青水が沈殿したりしたら、これまた酸素を追い出す水に変化した可能性が大です。いずれにしても魚には良い環境ではないでしょう。

とにかく放置したらよりリスクが高いと私は思っています。

ですので、夕方からまた雨が降り続くとしても、一旦リセットしてあげたほうが魚にとっては良いのでは、と思っています。

そんな理由で、私は雨の日も水の調子を見てレインウェアを着込んででも水換えをしています。

長雨のためのリスク回避のための水換え。

魚が調子を崩したり殺したりするのは梅雨と秋雨の頃が多いことを思い出してください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年9月 2日 (月)

アクアライフ9月号~金魚の花道~

先日、S氏よりアクアライフ9月号の情報を頂いたので、早速購読しました。

そんなわけでブログでもご紹介します。

Img_0001_new_2

表紙は琉金ですね!これ見てて思ったんですけど、これはこれで見事ですよね。どこがって?

ハツカネズミのような先細りの上品な頭部、そして頭部から鋭角に立ち上がった背なり、らんちゅうとは真逆のせり上がった背の頂上には鶏冠かミノカサゴのヒレのような立派な背ビレ。腹部は猩々なんでしょうね、底まで色が付いているということは種にも良いでしょうね。これだけ琉金の特徴が出ていたら食指が動く愛好家も多いことでしょう。

『金魚の花道』、サブタイトルが“水槽飼育こそが金魚の花道”

意欲的な特集ですね。水槽飼育の新しい提案があって見ていて楽しい特集になっています。水槽飼育は金魚との距離が近いので親近感がハンパではありません。

我々らんちゅうマニアは、どちらかというと造形物というフォルムの美を追求しがちですが、水槽飼育では金魚の正面から見た顔が見えるので擬人化しやすいんですよね。愛着がわくんです。目があり口がある。ポニョですね。滑稽な顔を金魚に見出して癒されるんですね。

魚類でこれだけ顔の多様性がある品種はないんじゃないですか?肉瘤一つとっても簡単に個体識別できるなんて、金魚って不思議ですよね。

アクアライフは、フィッシュマガジンと違った方向性で金魚の未来を現代風にアレンジしてみせているわけです。意欲的な特集です。

特集最後にコラムが掲載されていますが、宇野先生のお名前を発見することができますよ。刺激的な文章です。是非ご一読を。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

論外のネタ元~『らんちうのすべて』~そして根源的らんちゅう論へ

雨降りが続くもんで少し腰を据えて。

よく耳にすることは、

『ふんぺいは何を考えているのかわからん。』

『尾が大事じゃないってアホか!そんなこと言っていたら誰も相手にしてくれん。』

『あいつは本当の宇野系を知らん。(特にベテランさん)』

皆さん、色々お考えもありましょうが、私のスタンスは全ての愛好家の考えを尊重しつつ、私の思っていることをできるだけ噛み砕いて説明して、このブログの理解者を出来るだけ増やすことをモットーとしています。

ですから、私の認識が間違っていることが判明したら、謙虚にそのことを認め、同時にそのことに真摯に向き合い、より深く認識できるように心掛けるつもりです。

例を出せば、浜錦のことなど。w また、歴史的事実の誤認があったら、検証の上、すぐさま訂正いたします。

何事も歴史的根拠と科学的根拠に依拠しながらの検証がまず大事だと思っています。誰も面倒だからと言って忌避していることなら、できるだけ自分の許容範囲で検証しながら真実を追究していこうと思ってます。ですので根拠の希薄なそれぞれの愛好家諸氏の独自の説は、個々に精査していくようにしています。

ご存じのように、私は宇野先生と同時代人ではありません。

私がらんちゅうを始めた頃には、もうすでにお亡くなりになって久しかったんです。ですので、現場に居合わせなかったので、宇野先生のお言葉も薫陶も受けていないのは事実です。当時の雰囲気も時代背景も想像する以外ないのです。

『先生に会ったこともない若造が知ったようなことを言うな。』と仰るのもごもっともなんですが、逆に直接一対一で対話をされた方は稀で、お話をされている場に居合わせて聞いただけというケースが圧倒的です。それは、確かに宇野先生のお考えの一端に触れられたことは事実でしょうが、深く宇野先生と関わられたとは言い難いように感じています。

宇野先生も人間なので色々な面をお持ちだったようで、宇野系に関わった主要な先輩愛好家をほぼ網羅した今、独自の全体像がふんぺいの頭には出来上がっています。

愛好家のレベルによって宇野先生の言は変化したと言われます。一人一人愛好家に聴取すると、確かにそのような傾向があったようです。現に愛好家によって正反対のことを仰る場面に良く出くわします。その愛好家の理解力に合わせて言動を変えていったようなんですね。

ならば、宇野先生に会ったことない我々はどう捉えれば良いか?

とりもなおさず、歴史を遡り、辻褄があうか色々な角度から検証し、筋が通るように一本の線にする作業がどうしても必要なんです。それを延々とやってきて、未だにライフワークとしています。はじめは途方もなく知らないことだらけでしたが、もう引退された大先輩や、先生が足しげく通われた関東の愛好家連や、先生のご親戚まで辿り、やっとおぼろげながら人としての仁松像と、宇野仁松が追い求めたらんちゅうの理想像が分かってきたのです。

それは従来の“宇野系らんちゅう”では収まりきれない、私が時に使用する“宇野式らんちゅう”という言葉が端的に表しているように、もっともっと深い洞察があったと解釈するに至っています。

宇野系らんちゅうというイメージが確立している現在において、違う角度から“宇野系らんちゅう”を見るとき、従来の言葉では収まり切らない“宇野系らんちゅう”を、どう区別し表現したらよいか。“宇野式らんちゅう”という用語を提唱している意味はそこにあるんです。

石川亀吉から延々と続く、らんちゅうの正統な流れは、宇野仁松へと断絶なく続いていることに気づき、それが先生が『らんちゅうとは何か』を真摯に追求した結果であることを、どうにかして知ってほしい、私はそんな気持ちでいます。

こんな場末のブログでは到底書ききれない全貌を、いつかどこかで公にする日が来るのを、どうぞ興味のある方は心待ちにしていただきたいのです。

そしてこのブログを良く分からない方は、私が何を根拠に、また何に影響を受けて突拍子もないように見える考えを展開しているかのネタ元を再度ここで明かしておきます。何度も書いているんですけどね。

前提としてらんちゅうを語る時、宇野系やら~系である前に、らんちゅうとは何か? が共通認識として確立されていないのが問題だと思っています。実は宇野先生も同じように考えられていたことが段々分かってきたんです。

そして『根源的らんちゅう論』を系統などという些細なことを軽く飛び越えて展開しているのが、何を隠そう川田洋之助氏が著わした『らんちうのすべて』なんです。

らんちゅうを曲がりなりにも嗜(たしな)んでいる者で、この本の存在を知らないとしたら不勉強すぎます。書かれている内容は、系統を云々する以前の問題なんです。少なくとも理解しておいてほしいことが沢山書かれています。ネットなどの断片的な情報で知った気分になっているとしたら“論外!”です。らんちゅうをやるからには、こういった体系的なものを少なくとも読んでおいてほしいのです。

Img_0001
『らんちうのすべて』マリン企画 川田洋之助著

これを未だに読んでいない愛好家が居れば是非ご一読いただきたい。魚の見方、鑑賞の仕方、選別の方法など、従来の会用魚育成を主体としたテクニック論と一線を画す内容で、目から鱗が取れるのを体感していただけるでしょう。

例えば、種魚と会魚の違い、何をどう見たらよいかについて。

1こちらの図は種魚の図。(74ページ)

2上図と比較してこちらは会魚の図。違いが分かりますか?(75ページ)

この二つの図を見て気が付きませんか?背巾と目巾は連動していて、なおかつどちらが背巾があるか(オレンジの部分が背巾)? 横見の背だしと背の高さの関係、エラ深いではなくエラが後退しているという意味。背折れが深いのは背が高い証拠等々。私たちが疑問に思っていたことが見事に説明されているんです。

しかし!ベテラン愛好家は逆に読まないほうが良いかもしれません。刺激が強すぎるし、ご自分の考え方と整合性が取れなくなるから。むしろ今まで積み上げて来られたことを最後まで実行されたほうが良いように思います。それは全然アリだと思っています。

これから心機一転してらんちゅうを極めようと考える愛好家に特に読んで欲しいのは、73ページ~77ページ『選別の考え方』。

このブログで述べていることは、この項を読んでいただけるとより理解できるでしょう。

76~77ページに渡っては種魚を見極めるための図が詳細に語られています。これを読めば形質重視の種魚選別の方法が理解できます。

Se1
これだけ詳細に選別基準が書かれた書籍は皆無!
尾に関しても選別基準が詳述されているが、種魚基準ならフナ尾と差し以外はほぼOKであるのが理解できる。(なんと!40例を図示)

愛好家人口が増加した今、形質を重視するという考え方が薄れ、品評会のみの理由で、形質とは関わりない小さな傷しかない魚さえもはねてしまうような選別方法が浸透してしまっているのではないでしょうか。(本書73ページ)

80ページ~83ページ『繁殖について』

らんちゅうは胴と、それに伴う頭が優先されますから、背を抑えた太さと肉瘤の発達する資質が改良の最重要ポイント・・・(本書80ページ)

繁殖して、その中から種親を選ぶ場合は、尾形や傷にこだわらずそれに沿って残さないと、らんちうらしい資質はなくなると認識するべきです。(本書80ページ)

尾形を第一に考えてしまうと、水の抵抗が少ない体形に進んでしまいます。

資質の維持向上に欠かせないタイプのはっきりした形状を持ち、えらの後退と峰のない幅のある胴を持つ種として、らんちうの特徴を司る種親を第一に、さらに品評会用の魚を出しやすい、上半身と下半身のバランスの良い魚が出る品評会用の種親の、二本立ての種親が必要(本書81ページ)

もう説明は不要でしょう。ここまで書いたら分かって貰えると思うんですよね、多くの愛好家が種親について理解が浅すぎることが。

そんな訳で、下敷きはこの『らんちうのすべて』であることをもう一度言っておきます。『らんちうのすべて』を一通り読んでからこのブログを読めば、きっと理解していただけるかと思います。

それでも分からない方は申し訳ありませんが、縁が無かったと諦めていただきたいです。そしてもう二度とこのブログは読まないでください。目の毒ですから。(^_^;

ところが、ところがです!この本、買い求めようと思っても実は昨年絶版になっているんです。え~っ!!ですよね。

これだけ薦めといて絶版て。。。(;^ω^)

ま、しかし図書館やら中古書を探せば必ずありますから。それぐらいしても全然損はしませんよ。

と同時にもう一つ情報を!

著者の川田氏に聞いたら、『らんちうのすべて』をより発展的にした著作を用意されているとか。間もなく発刊されるようです。そちらを楽しみに待つことにしましょう!

| | コメント (4) | トラックバック (0)

« 2013年8月 | トップページ | 2013年10月 »