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2011年9月

2011年9月29日 (木)

用語の混乱を超えて~宇野系らんちゅう?宇野らんちゅう?京都系らんちゅう?

入門者の方は未だに混乱しているようなんで、少し整理しておきますね。

宇野系らんちゅう・宇野らんちゅう・京都筋らんちゅう・京都らんちゅう・京都式らんちゅう・京都系らんちゅう

呼び名も様々ですが、大きくは全て同じらんちゅうを表現しているんです。

京都金鱗会の元会長にして陶芸家であった宇野仁松翁が、関東から獅子頭らんちゅうを移入してきて、改良を手がけた系統のらんちゅうをそのように呼びならわしています。

仁松翁の血統を脈々と受け継いでいるというのは、このらんちゅう愛好家全てに共通していることなんです。しかし、仁松翁が大事にしてきたこと、考え方を正しく継承していないと次第に別物のらんちゅうになってしまうものとふんぺいは思っています。

血統は当たり前、らんちゅうに対する考え方が肝!

根底に流れている思想は“らんちゅうとは何ぞや”という問いです。これを抜きにして宇野らんちゅうは考えられません。そしてらんちゅう全てに言えることですが、~系やら~筋なんて言葉は実際のところあまり意味がありません。

仁松翁がご存命の頃は「宇野系らんちゅう」とか「宇野らんちゅう」という呼び名はあまりしませんでした。

仁松翁を慕い尊敬の念を込めてお亡くなりになってから一部の愛好家が呼びならわしたのが「宇野系らんちゅう」「宇野らんちゅう」という呼び名なんです。

ご存命時には、仁松翁はご自分の名前を冠することにあまり頓着されていなかったようです。むしろ謙遜の意味で「京都の魚」とか「京都式らんちゅう」とご自分では表現されていたようです。

しかし晩年になって、仁松翁の系統の魚は“時代遅れ”ととらえる会員が現れたり、不遜にもご高齢を理由に、軽んじられる傾向が顕著になったようです。

そのような風潮に危機感を持った愛好家の一人に、藤井四朗氏がおられました。そして一つの会を立ち上げられました。

それが「京都らんちゅうの会」です。その名称はそのまま“宇野らんちゅうの会”でも“宇野系らんちゅうの会”でも良かったんですね。

実際のところ、発会当初(1982年)は“宇野らんちゅう保存会”だったそうです。このお話しは複数の方からお聞きしています。ある筋から「個人名を拝して会を立ち上げることはならん。」と圧力があったとも聞いています。そのようないきさつがあって“宇野らんちゅう”“京都らんちゅう”と言い換えたようです。

当時、それほどまでに仁松翁が築き上げてきたもの、そして精神が失われようとしていたのが判る出来事ではないでしょうか。

京都金鱗会会報を紐解くと、宇野仁松会長は、ことあるごとに“京都式らんちゅう”という用語を使用されています。京都の風土にあった独特の“方式”に則ったらんちゅう、と言ったらよいのでしょうか。”京都式”の言葉の中には、飼育方法・魚の見かた・残し方などトータルな方法を体現したらんちゅうとして宇野会長は表現されていたんだと考えられます。

現在、愛好家によって呼び名に思い入れがあるようで、こだわりをもって様々な呼び方が使用されています。これが入門者を混乱させる結果となり、さらには用語が独り歩きして、勝手な差別化に利用されている風潮が見受けられるのは残念な気がします。

そのような現状を打開する意味もあって、ふんぺいは手あかの付いてない用語として“京都式”と“宇野系”を足して二で割ったような造語で“宇野式らんちゅう”という用語を提唱しているのです。

【結論】

京都らんちゅう:京都式らんちゅう:京都系らんちゅう:京都筋らんちゅう:宇野らんちゅう:宇野系らんちゅうは全て同じ意味(※ただし厳密に言うと少しずつニュアンスが違います。でも大枠は一緒。)

ふんぺいは統一用語として『宇野式らんちゅう』を推奨します。

もっと体系的に詳しくお知りになりたい方は
『金魚三昧 二号』所収「京都らんちゅうの系譜」をご覧ください。

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2011年9月26日 (月)

『いのちドラマチック 第1集』~読書ノート~

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『いのちドラマチック 第1集』 監修福岡伸一 木楽舎

ことあるごとに取り上げているNHK BSプレミアムの『いのちドラマチック』という番組を書籍化したものです。

毎回、人間と人間の手によって改良されてきた生物との関わり、共生関係を判り易く解説しながら“いのちとは何か”を深く考えていく番組です。

私たちのらんちゅうも以前取り上げられました。第1集には収録されていませんが第2集には収録されるでしょう。

やはり書籍になって活字として見ると、サラっとオンエアでは流してしまった部分もしっかり頭に入って深く理解できます。この書籍化は正解だと思います。

この番組、ブタや鶏のような有用生物、経済的生物だけを取り上げて解説するのではなく、存在しなくても人は何も困らないような愛玩動物などの改良品種をも肯定的に暖かいまなざしで考えていこうとする姿勢に毎回感銘を受けるのです。

ややもすると“金魚の改良”なんてことは、興味のない人にしてみれば無駄だし、大半を選別という名のもとに命を消費すると捉えて、薄っぺらなヒューマニズムで頭から否定して思考停止してしまう人達に、一矢報いることができるかもしれませんね。

うしろめたさを感じながら、いのちを差配する我々愛好家が真剣にいのちと向き合ってこうやって考える機会を与えてくれるこの番組は、本当に素晴らしいと思うのです。

目次

Part1 ヒトを魅了する美しきいのち

01.ニシキゴイ 棚田発、世界へ!色とりどりのニシキゴイ

02.ラン     150年で13万種!人々の心を虜にするラン

03.アサガオ  江戸の昔から粋な芸を見せる花

Part2 ヒトの食を支えるいのち

04.ミツバチ  世界の農業を支えるミツバチに異変が!

05.トマト    世界が夢中!トマトの旨味と突然変異

06.ホワイトレグホン 年中無休!300個の卵を生む驚異のニワトリ

07.バナナ   消滅の危機!?甘くて美味しい種なしバナナ

Part3 ヒトに紡がれるいのち

08.カイコ   人とともにカイコが紡ぐ壮大な物語

09.ブルドッグ 緊急手術!人が取りだすいのちのドラマ

10.アグー豚  高校生たちが復活させた琉球の食文化

11.ソメイヨシノ 日本の春を可憐に彩る、クローン桜

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2011年9月25日 (日)

尾島系のこと

先般、横須賀の友人より冊子が送られてきました。

横須賀らんちゅう会の林氏がお亡くなりになりもう何年経ったんでしょうか。

林氏は尾島系という由緒ある名に安住することなく、“らんちゅう”を極められた愛好家でした。

その『らんちゅう愛好70年』(非売品)は、その林氏の遺稿をまとめた小冊子で、我々愛好家にとってヒントがたくさん詰まっていて、何度も読み返し精読したい好著だと感じました。

Img

目次を少しご紹介すると、

■らんちゅうの基本
*一番重要なのは、キメと鱗の細かさである
*二番目は、頭ならびに骨格
*三番目は、エラの深さと目先
*四番目は、背幅、筒、角度
*五番目は、尾形と皿、ならびに味

■種魚の選びと筋Ⅰ

■種魚の選びと筋Ⅱ

■種魚の選びと筋Ⅲ

■冬越しと産卵

■品評会に想う

■水づくり

林氏の飼育方法やらんちゅうに対する考え方は、宇野先生とかなり近いと感じました。というより、従来のらんちゅうというものに対する考え方は、両者がスタンダードだったのだと思うのです。いつの日か全てが変貌してしまったのだとつくづく思うのです。

ある人の本に少々質は落ちても尾形の優れたほうが良いと書いていたのを見たことがあるが、私は質の向上に力を入れ、大会があるので尾形も大切であるが、やはり頭の良い魚にしたい。

筋とは何千と産卵し、その卵が孵化したときに親に似た魚が(形の整いは別として)70%以上は出なければ筋とはいえない。

やはりこの方は本物だったんだと改めて思うのです。らんちゅうの本質をズバリ指摘されています。林氏は宇野先生と全く接点は無いと仰っていました。なのに何故これほどまでに考え方が酷似していたのか?そこに全ての答えがあると思うのです。

一代雑種の会用で遊ぶ愛好家とは、レベルが違う世界で遊ばれていたんでしょうね。~系やら~筋などと言う前に、「らんちゅうとはなんぞや」を突き詰めて考えられていたのが上の見出しでも判りますよね。

ふんぺいは長く記憶にとどめ、多くの心ある愛好家に林氏の存在を広く知って頂きたいと願うのです。

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2011年9月19日 (月)

美の法則

これだけ言葉を尽くしても尽くし切れていないというもどかしさ、判ります?

『美』とは何かを探る旅は終わりはないようです。

“美女とは何か”という命題を与えられたのと一緒で答えはないのかもしれません。

ミロのヴィーナス、モナリザ、浮世絵の美人画、竹下夢二の美人画。

黄金律が美しく見せるのか?

骨格から構築していったという緻密な筆のタッチに美しさが宿るのか。

繊細でいて大胆な筆さばきが美しさを表現しているのか。

柔和な線と淡い筆使いがアンニュイな美を醸し出しているのか。

私たちは美の根源にどれだけ近づけるのか。美学が美を分析できるのか。

実はどれも美であり美の一部であり、全ての美を語ることは出来ていないのだと思います。

美女を細かくパーツに分けても所詮パーツはパーツでしかないことをお判りでしょうか。

『美は細部に宿る』とはフィギュアでのことですが、らんちゅうの美はそれほど単純でもなさそうです。細部があり、最後に総和としての全体があるのです。しかし全体は部分の総和ではなくプラスアルファがあってはじめて成立する。

二人として同じ美女は居ないのです。それぞれに特徴があり、その特徴を分析していってもどこかで逃げ水のように雲散霧消してしまうのです。

そこに美女は存在する。しかし、美女を美しいと感じる“美”とは、私の外にあるのではなく、私の中にあるもの。それほど抽象的な美の感覚を、法則として書きとどめることの無意味さを判ってはいるが解明したくなるは人間の探究心のなせる技なのでしょうか。

美はそれほどまでに私たちから遠い存在であり、追い求めてはいけないものなのかもしれません。らんちゅうの美は、生き物である以上、決して永遠のものではないのであり、時が過ぎれば跡形もなく消え去る運命なのですよね。

取りとめもなく考えると、禁断の美としてらんちゅうに内包されている美の法則は、永遠にベールを脱ぐことはないのかもしれません。

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2011年9月17日 (土)

2011年度 宇野系らんちゅう品評会日程

また心躍る季節がやってきました。

沢山のらんちゅうが観れますぞ!

去年の日程を参考に列記しました。大体毎年開催日は一緒なんで。

今度の日曜日からです。どうぞ各地の品評会を覗いてみてください。ネットで画像や動画を見ているだけでは何も始まりませんぞ!自分の足で汗をかいて己の目にしかと金魚を焼きつけてください。

ふんぺいもどこかの会にふらっと顔を出すことでしょう。お気軽にお声を掛けてしつこく聞いてみてください。いざ!出陣!!

【宇野系らんちゅうの品評会日程】

9月18日『播磨愛らん会』 姫路市 大塩天満宮

9月18日『和歌山錦鱗会』 和歌山市 紀三井寺球場

9月25日『小倉金鱗会』北九州市 小倉城

9月25日『守口らんちゅうの会』守口市 大宮中央公園

9月25日『京都系らんちゅうの会』門真市 弁天池公園エントランス

10月2日『琵琶湖金鱗会』 滋賀県 琵琶湖ホール左横公園

10月2日『鶴来らんちゅう友の会』石川県 パーク獅子吼 ふれあい館広場

10月9日『日本らんちゅう愛好会』大阪府 天王寺公園

10月9日『京都金鱗会』 京都府 藤ノ森神社 ※同名の愛好会が存在しています。

10月16日『京都らんちゅう会』 京都府 六孫王神社

10月16日『日本愛らん会』 大阪府 弁天町オーク200

10月16日『京都金鱗会』 京都府 梅小路公園

10月16日『京都愛らん会』 京都府 水火天満宮

10月23日『全日本らんちゅう愛好会』 大阪府 吹田メイシアター

10月23日『宮崎らんちゅう会』 宮崎市宮崎中央公園文化の森

10月30日『神戸らん友会』 神戸市 和田神社

10月30日『九州愛らん会』 福岡県 中津 ※日程間違えていました!!

※誤記があればご連絡ください。

 

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2011年9月15日 (木)

不正魚~何故“差し”が駄目なのか~

我が家は選別が緩いので、ちゃんと見れば不正魚としてハネだされるはずの個体も、この時期まで悠々と池で泳いでいたりします。

ある程度大きくするとキズが明確に確認できて、不正魚は不正魚なりに、そこから学ぶことが出来ます。

今回はそんな不正魚達から教えを受けることにします。

1_2 背鰭ありの個体
上の画像は背鰭が出た不正魚です。数合わせもあって、いつも言うように筒伸びや矢尾も残している場合があります。(魚を減らしすぎると魚が崩れたりするため)そんなわけで残っているんです。(^_^;)

この画像だけではキズは背鰭だけしか確認できないのですが、この画像を加工してコントラストをはっきりさせるともっと面白いことが判るんです。それが下記の画像です。

2 コントラストを加工した画像
加工すると、あ~ら不思議、背巾とともに峰が見えてきますよね。線が一本スッと尾に向けて入ってます。それにそってやや後ろに白い楕円形があり背鰭がニョキっと飛びだしているんですね。

さらに尾に行くに従って、先ほどの画像では判別できなかった尾筒に白い線が浮かび上がっています。これは“差し”が尾から筒に伸びたものと考えられます。
3 横見

さあ勘が良い方は、もうふんぺいが言いたいことが判ったかもしれませんね。

それは『背鰭と差しは連動していると仮定できる』です。つまり一番背中の高いところに欠点が出やすいということ。

もっと言うと、『峰:背鰭:差し』はフナに戻る兆候と謳った方が良いかもしれませんね。この三要素をどれも外さなければならない理由は、“先祖返りしているから”と言ってもよいのではないでしょうか。

胴体のセンターにキズが集中しているのは、そこが一番改良しにくい場所だからではないでしょうか。そう考えると納得がいきますよね。つまりらんちゅうのウィークポイント。

以下、不正魚のサンプルを見ながらの解説です。参考にしてください。

7_3差し
上の画像は尾筒に水かきみたいに差しが入っています。見落としがちですが差しの延長と考えて間違いないのでしょう。

4 帆柱
背にポチっと突起があります。小さいうちは点のように判りにくいですが、ある時ふと気が付きます。良い背してるのに~って嘆くことになるんですよね~

5 横見
横見で見るとポッチが無けりゃって思いますよ。

6 帆柱
こんなふうに潜望鏡の如く背鰭が出るものなんですよね。ほんとらんちゅうって昔は背鰭があったんだと思わされます。

Dsc_2593 ゴツ
最後は「ゴツ」です。背がゴツゴツしているから「ゴツ」。(^_^;)

頭部から背出しを経て胴体中央までは良い感じで来ても、何故か背鰭の棘条が下から突き上げる如くに出た胴の後半部分は、背は乱れまくっています。遺伝とは不思議なものです。

このような不正魚を種として仔を引くことを実践した愛好家が居るかと言うと、私は聞いたことは無いです。ですからこのようなキズが直接仔に遺伝するかしないかは本当は不明なんですよ。

でも愛好家として他に良い形質を持っている親が居るなら、わざわざ使うことはないのも当然な話しですよね。物好きな愛好家は是非犠牲になって仔取りをやってみて欲しいものです。

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2011年9月13日 (火)

瘦身(そうしん)のらんちゅう~病魚で考察~

健康な金魚は、泳ぎながら水中の植物プランクトンを食べたり絶えず摂餌行動を取っています。ハネ魚を集めて捨て置いた池で、餌をやらなくても生き延びるのはそのためです。

ですので骨と皮になることはありません。骨格がむき出しになり腹が萎むようなことは普通の飼育では有り得ません。金魚は締め飼いといえども肉は付いています。

しかし、一旦病気になるとどんどん痩せていきます。画像は内臓疾患の個体をサンプルにしました。

健康な個体は、どんなに餌をやっていなくても最低限の肉と脂肪は付いています。画像のようにここまで来ると、体を動かす為の筋肉すら危うい状態で泳ぐこともままなりません。生命を維持できないまで痩せることは、普通は考えられません。まるで拒食症患者を見ているみたいです。足や腕の肉が削ぎ落ちたような状態。回復可能なエラ病でもこのようにはなりません。

Dsc_2577

こんな細い 【←】状の形状から、あなたは肉が付いた“健康な”らんちゅうを想像できますか?

どんならんちゅうも痩せさせると似たり寄ったりの形状だと仮定するなら、らんちゅうとは、もはや肉付きの違いだけだという結論に至ることにならないでしょうか。骨格の違いとは上見ではあまり意味がないように感じられるんですが、要は巾とは肉付きかも?と疑いたくなりますね。
反面、後から見てもらいますが、横見は痩せると骨格が良く判ります。背の低さと骨格は密接な関係にあるのが判ります。

極論かもしれませんが、肉の付き方の違いが魚のタイプになっていると考えられないでしょうか。

腹周りに異様に肉が付くタイプ。
筋肉質なタイプ。
ぽっちゃりしたタイプ。
背に肉が盛るタイプ。
いくら餌をやっても太らないタイプ、などなど。

ピンポンパール比較論からの問題意識は、らんちゅうにこうやって戻って来たわけです。

Dsc_2578

つまり、肉付きの違いも遺伝的要素として込みで考えなければならないということ。但し何事も例外があって、環境要因や飼育技術によって、肉付きの能力の発揮度は変異するということも考えなければならないのでしょう。

そういえば、好著『金魚のすべて』で杉野氏が金魚を力士に例えて、

そっぷ型=筋肉質の力士

あんこ型=脂肪によってでっぷりとした体形の力士

に分けられると。

なるほど。ならば適度な運動を課して適量の餌を与えたぜい肉の無いそっぷ型らんちゅうが存在すると考えても良いのではないでしょうか。

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2011年9月10日 (土)

“日本製パソコン輸出拡大”~日本経済新聞~

2011年9月9日付け 日本経済新聞

『日本製パソコン輸出拡大 ---日中のコスト差縮小』

という一面の見出しになっていました。

富士通、ソニーがパソコン輸出を拡大する。・・・・・・国内工場の生産革新と中国の人件費高騰で日中のコスト差が縮まりつつあり、各社は高品質の「日本製」で新興国市場を開拓する。

この記事のキーワードは“高品質”です。

これは日本人のメンタリティに直結する問題で他国ではマネ出来ないことなのだと思います。全ての生産品に言えることで中国を含めたアジア諸国での「日本製」は、信頼の目印であり品質の高さで他を圧倒しているのだと思います。

実はらんちゅうでも同じことで、日本人が作ったらんちゅうは日本人にしか作れないんです。いくら種魚を持って行っても同じものが出来ないことがいずれ判るのではないでしょうか。だかららんちゅうにおいても高品質がポイントなんだと思うんです。

新幹線技術を自家製だと強弁しても、化けの皮がすぐ剥がれることを多くの人が知っているように。“安全”という理念のような目に見えない精神的な取り組みは、彼らには無理でしょうから。宇野系らんちゅうという理念が判らなければ宇野系らんちゅうは出来ません。

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2011年9月 9日 (金)

『金魚春秋』~読書ノート~

この時期、一年で一番閲覧数が増える時期なんですよ。こんな時期は少し辛口な文章をば!

『金魚春秋』 プロが伝える飼育の知恵と極意 金魚の吉田監修 1200円

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『最新 金魚飼育大全』吉田信行著 日東書院本社とカバーの違いだけで中身は一緒みたいです。『金魚春秋』はISDNナンバーが無いので一般書店ではなく、ペットショップに置くタイプなんでしょうね。ですから普通には『最新 金魚飼育大全』として入手できると思います。内容はあれもこれもと、とにかく詰め込んだ感じで初心者には少し辛いかも。でもある程度経験を積んだ愛好家には骨のある内容で読みごたえがあると思います。中国の一品物の個体の画像も一杯ありますよ。

金魚の吉田と日本動物薬品は関連会社のようですね。因みに編集者には川田洋之助氏も名前を連ねておられます。

なかでも「らんちゅうの各部位」の図は秀逸です。是非じっくりとご覧ください。広く見て頂きたいのでこの部分だけご紹介します。

Scn_0002

こんな個体、滅多に見ることないでしょうね。このらんちゅうで各部位の図示は凄すぎます。意味判ります?

Photo

一番の見どころは、“目幅・背出し・背幅・腹幅・鰓止まり”の場所の図示です。

よ~くご覧ください。

1.目幅と背幅はイコールです。

2.背幅と腹幅は違うことが判ります。(前記事のピンポンパールの比較で理解できたのでは?)

3.背出し位置は鰓の付け位置です。

4.鰓の端は鰓止まりと表現されています。

5.普通のらんちゅうと違うのは異様に「鰓深く」ないです。※鰓が後退していないということ。

6トキンの重要性が良く判ります。

7.背出しが一直線。(普通のらんちゅうは頭部に切れ込んだV字型になっている)

と抜き出しただけで少なくともこれだけのことが判ると思います。

宇野系らんちゅうの理想の型はこれを踏まえたものが基本になると私は思います。

背幅と腹幅を勘違いするベテラン愛好家が多いですが、普通のらんちゅうは腹幅で太さを出しています。これは餌で作ることができるので、作るのが上手い愛好家はこれで誤魔化してしまいます。(会用の魚は多くが腹幅で太みを出しています)

鰓の位置と背出しの位置がズレればズレるほど、横にすれば背が高いことが判ります。一般の“鰓深い”の意味は、鰓が後退して“背が高い”か“頭部が小さくなっている”ことを指したマイナスの意味であることを理解して欲しいです。

目幅と背幅がイコールなのが判りますよね。つまり目幅が無ければ背幅も無く、見かけ上は太く見えても種としては不向きであることが判ります。

この見かたをマスターしたら残す魚がガラっと変わるのではないでしょうか。尾で選別していたらこんな魚はまず残らないです。ならばどうするか?・・・・・賢明な読者の方なら判りますよね。判らない方はこのブログの記事をもう一度読み直してみてくださいね。

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2011年9月 8日 (木)

らんちゅうの体形を考える~ピンポンパール比較論~

この世にらんちゅうしかいなかったら、私たちはらんちゅうの美を見つけ出すことができなかったかもしれません。

他の品種と比較してはじめて、らんちゅうは輝いているのであって、比較対照するものが無ければ味気ないし珍重もされなかったのではないでしょうか。

以前から言ってますように、“らんちゅうを相対化する”とはらんちゅうしか興味の無い“らんちゅう至上主義者”が、らんちゅうが金魚の一品種に過ぎないことを忘れ、あたかもらんちゅうだけが唯一無二な存在であると勘違いし、独りよがりになってしまったりすることを避けたいが為に提唱しているのです。

“らんちゅうだって所詮、金魚の生理から抜け出すことは出来ない”という認識が無ければ、らんちゅうの本質を見失う結果になると思うのです。らんちゅうだけに通用する突拍子もない理論を言うベテラン愛好家が後を絶たないのはどうにも恥ずかしい。金魚の頂点だと吹聴するのなら、それなりの勉強をして欲しいし、少なくとも品種の壁を越えてみんなが納得する理論を検証し構築して欲しいと願うのです。

要するに、金魚の品種の中でらんちゅうを位置づけ、そしてらんちゅうの特徴や長所短所を客観的に見極める作業が必要で、他品種の愛好家たちとの情報交換の上に立って共存共栄を図りながら、らんちゅうの進むべき方向を考察していくということが必要なのではないでしょうか。

ふんぺいが他の品種に絶えず目配りしているのは以上のような理由と考え方からなんです。

さて前置きが長くなりました。早速今回はピンポンパール(珍珠鱗)を見ていくことにします。因みに背番号8さんのご紹介で、著名なピンポンパールのブリーダーである楠公さんの池を拝見して実物を見せて貰った際の印象を交えて考察していきます。

Dsc_2526出目ピンポンパール

ピンポンパールの見所は、限りなく球体に近い胴体と綺麗に並ぶパール鱗、土佐錦魚のような上品で鋭角な三角を描く頭部、そして小さな尾でしょう。

実物を拝見すると、まあ見事に丸い胴体。真円に近いです。

Dsc_2549後ろからのアングル

おしりのほうから見るとどうか?やっぱり丸いですね!ただ少し、わずかに背に向けて勾配があるようです。つまり背びれに向けて峰があるんですね。胴体を輪切りにするとティアドロップ型なんですね。やはりフナの形状を残しているのですね。

目巾イコール背巾としたら・・・・・背巾はない・・・・ないですね。(^_^;)

体巾はしっかりありますけど。

痩せさせるとどうなるか??実は体形を維持するのには愛好家の皆さんはどうしているのか?が最大の疑問だったんです。今回の訪問でその疑問も解消しました。
つまり、こうなんです。風船を膨らますように餌を食わせているんです。体形を維持するべくしっかり餌を付けているんですね。

じゃその膨らんだ体に充填されているものは何か?
曰く、脂肪ではないかと・・・・腹水という説もあります。腹水となるとリンパ液みたいなものと言えますね。これは愛好家の皆さんもはっきりとは確認していないようです。(けっこうポヨンとして柔かい)

Dsc_2531 見事な腹巾

ただ、だからと言ってらんちゅうも同様に食わせてもこのような円形にはなりませんよね。

要は、遺伝的特性の上にしかるべき餌を付けることによって体形は維持されているのです。最も重要なのは健康に飼育し餌を与えることによって、その個体が持って生まれた素質イコール遺伝因子を如何に発揮させるかということなのだと思うのです。

Dsc_2542腹が膨れないタイプ

上の画像のような腹が膨れていないタイプも居ます。何か土佐錦魚を彷彿とさせる個体ですよね。この個体も餌を大量に与えたら丸くなるかもしれませんが、このままの形状を保つような気がします。

Dsc_2533 側線がかすかに確認できる

次に疑問に思っていたことは、側線の存在の有無と、側線より背鰭に向けての鱗の列数です。パール鱗は鱗表面にカルシウムが付着しているという理由から、側線鱗は機能していないのでは?という素朴な疑問があったんです。

上の画像を見ていただくと、微かに側線鱗の存在が判ると思います。パール鱗といえども側線は存在しました。ちゃんと感覚器官としての側線は機能しているのが判ります。ピンポンパールといえども金魚の本来の性質からは大きく逸脱することはないのです。

さてもう一つの疑問は、側線より背の一番高い場所までの鱗の列数です。ピンポンパールは平均して8列を確認することが出来ました。らんちゅうだと6列が平均なのですが、これだけ列数があるということは、見た目上鱗が小さく美しく並んでいるように見えるのに貢献しています。

このようにして、品種によって鱗の列数は変異することが確認されたわけです。

ということは、今後らんちゅうでも列数が増加した個体や鱗が小さい個体が出現する可能性が無いわけではないことが判ります。ふんぺいがこれまで調査してきたらんちゅうの列数は大きく変化することは無かったのですが、ピンポンパール系との比較において、新たな改良の指針として、我々は意識して列数の多い個体を残すようにすれば良いことになります。(実はもう一つ基準になるモードがあるんですが、それは別記事にて)

従来の宇野系で“鱗の細かい”魚とは、鱗が小さい=体格が小さい個体であって大きな個体との比較において鱗数に変化があるわけではなく、単に飼育方法の強弱に由来して鱗の大きさが変化しただけと断定できます。(※肥大飼育をすると鱗が乱れたり、鱗が不揃いになると言われている)

Dsc_2550 穂竜

因みに、穂竜も見せて頂きました。穂竜もパールスケールの血統を引いているのですが、ピンポンとは違い、体形は琵琶型に留まっています。ピンポンパールを見て穂竜を見て思ったことですが、改良の方向性で体形も変化するということが良く判りました。

宇野系らんちゅうの方向性は、他品種に無い特徴的な体形の創出と、鱗数の多い個体が出るのを待つというブリーディングを注意深くすることなのだと思うのです。もちろん頭部肉瘤は言うに及びませんが。

このようにして、肉の付き方は遺伝的特性であるという結論に至ります。すなわちどんな品種でもその品種の理想とする形があり、それが発揮されてはじめて遺伝因子として認知されると思うのです。 

骨格+肉付き=体形 だと。二つの要素は欠けることはないのです。

そしてそのポテンシャルを極限まで引き出すのは飼育方法なのだと思いました。その飼育方法の極意は、これまた「健康に飼う」だと痛感するのでした。

楠公氏は、数々の大会で入賞されたいわばピンポンパールのトップブリーダーです。そのお方の経験に基づくお話しは、示唆に富むもので大変多くのヒントを頂きました。ありがとうございました。

最後に、この際ピンポン玉のような真円の体形を目指すのなら、唯一改良して欲しいところがあります。それは背鰭です。背鰭無しならまさにピンポン玉。突然変異を待てば出来ないこともないのでは?・・・・・・・でもそんな個体は、バランスが取れないでクルクル回って泳げないのかも。(^_^;)

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