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2010年6月

2010年6月27日 (日)

好きであるということ~『ルリボシカミキリの青』より~

立て続けに「いのちドラマチック」の福岡伸一氏の著作を読んでいます。『動的平衡』『世界は分けてもわからない』、どれも名文です。是非ご一読を。

以前、微生物について調べている時に『生物と無生物のあいだ』を読み、ウィルスに対する認識を一新出来たのが福岡氏の文章との出会いでした。

今回、『ルリボシカミキリの青』の冒頭の文章に不覚にも涙が出るほど感銘を受けたので少し長いですけどご紹介したいと思います。

福岡氏はふんぺいと同年代の方で共感できる部分がそれでなくとも多いのでしょうね。

実は誰でもハカセになることができます。そのために必要なことはたったひとつ。何か好きなことがあること、そしてその好きなことがずっと好きであり続けられること。

----中略----

君が好きなものが、たとえば鉄道だってそれは全然かまわない。君はきっと紙の上に点と線を書きつけて路線図を描くだろう。山手線だろうが常磐線だろうが駅名はいつの間にかすべてすっかりそらんじている。そのうち君は、ある鉄橋を渡る列車の写真を撮るために、地形図や時刻表を丹念に調べはじめる。鉄道の歴史や廃線のあとを知るために図書館に行って本や資料を探す。
図書館の書庫に降りて、本棚の隅にようやく探していた本を見つける。開くと埃の匂いがする。裏表紙をあけてみる。そこに貼られている貸し出し票の日付印。なんと君は十年ぶりの借り手だ。誰にも読まれず書庫の澱(おり)のなかに眠っていた本。それを今、君が手にする。なんとなくうれしくなる。それは君がちゃんと道を踏んでいる確かな証拠だ。十年前、この道をたどった誰かと同じように。

---中略---

調べる。行ってみる。確かめる。また調べる。可能性を考える。実験してみる。失われてしまったものに思いを馳せる。耳をすませる。目を凝らす。風に吹かれる。そのひとつひとつが、君に世界の記述のしかたを教える。

---中略---

大切なのは、何かひとつ好きなことがあること、そしてその好きなことがずっと好きであり続けられることの旅程が、驚くほど豊かで、君を一瞬たりともあきさせることがないということ。そしてそれは静かに君を励ましつづける。最後の最後まで励ましつづける。(下線 ふんぺい)

なんか胸が熱くなります。求道者とかそんな大それたものではないんです。“好きであり続けること”を福岡氏は暖かいまなざしで表現してくださっているのではないかと思うんです。以前、剣道に例えたことがあります。この道を“十年前にたどった誰か”を見つけた時の喜び。“道”とはそういうものなんだと思うんです。決して肉体的苦しみとかそんなものが“道”ではないんだと思うんですよね。

「好きであり続けるということ」の意味。なんかすごく励まされる文章です。

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2010年6月15日 (火)

近況報告

ご無沙汰してしまいました。

産卵・孵化・管理、この時期一気にやることが増えます。従いまして全く余裕が無くなります。

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手前の舟、縦に並ぶ50リットル舟群、そして右上の舟。全部稚魚が入っています。

関西も梅雨に入りました。ちょっと油断するとエラに罹ります。

気が抜けない日々が続きます。

頑張りましょう!

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2010年6月 5日 (土)

山門水源の森

6月3日に、湖北地方にある“山門(やまかど)水源の森”に行ってきました。

http://www.digitalsolution.co.jp/nature/yamakado/index.html
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今では珍しい高層湿地がある里山の豊かな水源なんです。綺麗に整備されていて後ろの山まで周遊できるコースがあって、なかなか変化に富んでました。

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新緑がまばゆいぐらいで癒されます。

道にはこんなコクワガタが居ました。もう出てきているんですね。手指の関節の大きさなのにいっちょ前です。
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平日だというのに団体さん30名も来られていました。水源の森を次世代に引き継ごうという地元の方たちの熱い気持ちが伝わってきました。らんちゅうにも通じる気持ちを感じずにはいられません。

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2010年6月 3日 (木)

結『いのちドラマチック』~感想(星三つ)~

視ましたか?『いのちドラマチック』

☆☆☆☆☆のうち★★★☆☆(星三つ)でした!

導入部分はどうしても要りますよね。金魚は「そもそも論」があってはじめて論に入ることになります。その部分をどうコンパクトにまとめるかが難しいところなんでしょうね。観魚会に取材に行ったんですね。順当なところです。エンドロールに佐藤昭宏氏のお名前がありました。

それはともかく、ふんぺいの克目したところを箇条書き。

1.CTスキャンを利用した骨格の提示。

2.生物中、魚類がはじめて背骨を発明した、または採用した。

3.魚類は遺伝子が極端に多い。

4.福岡氏から『戦術』という言葉が聞けたこと。

1.は、ふんぺいが提示したかったことを見事やってくれてました。但し、スキャン画像の利用の意味が少し浅かったようですが・・・。とにかく、鮒との比較は秀逸ですよね。らんちゅうの背骨の位置。上からの画像での頭骨の異常な大きさ、鮒にはあるまじき肋骨の左右への広がりと巾。見る人が見れば、この画像から学ぶべき点はまだまだいっぱいあります。

2.進化の過程で背骨を持つことの意味を説明してくださいましたね。硬骨魚。人間まで続く脊椎の発生は、制約される最も基本的な部品であることが認識できます。

3.なるほど、魚類はそうだからこそ形態の変異を容易にしていたんですね。そこで疑問なのですが、鮒でなくても他の魚類も同様に遺伝子が多いということは、改良していけば形態が変わるということなんでしょうね。証拠に、メダカなどは、人の手によってさまざまな形態が作り出されてますよね。

らんちゅうの選別を図で説明されてましたが、これは従来の会用の魚を得る方法ですね。この説明では、改良のベクトルとしては、決して親を超えるものが出ないことを如実に表わしていると思いました。

つまり、多種多様な遺伝子の奔流を避ける残したかたではないかと考えさせられました。気付かれた方が居れば良いけど・・・・

4.福岡氏は奇しくも『戦術』という言葉を発せられていました。もっともっと突っ込んでほしかったんですが、この論外で絶えず申し上げている生物としての“らんちゅう”の種を残すための『戦術』、これが生物学的に間違っていなかったことを福岡氏は話して下さったと思いました。

ま、こんなところでしょうか。良い番組でしたね。宇野をやっている愛好家は特に感じることが多いんじゃないでしょうか。

ま、苦言を呈させていただくと、肉瘤を『肉瑠』としていたのには??が付きますし、盛んに肉瘤は脂肪だと説明していたのはNHKの担当者の勉強不足です。または監修した金魚界のどなたかの思い違いを鵜呑みにした結果ですね。

肉瘤はタンパク質だっつーの!

気になった部分を総合して、星三つとさせていただきます!

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